愛する娘たちへ。
お前たちがこの手紙を読んでいる頃、父さんはどんな顔をしているだろうか。きっと、少しばかり皺が増え、白髪も目立つようになっているかもしれない。でも、お前たちへの愛情だけは、何一つ変わっていないはずだ。
父さんは、お前たちが生まれてきてくれた日から、この小さな命をどう守り、どう育てていけば良いのか、毎日毎日考えてきた。そして、父さん自身の人生を振り返り、成功も失敗も、喜びも苦しみも、全てがお前たちへの「生きる知恵」として伝えられるのではないかと思うようになった。
父さんは20代の頃、スポーツトレーナーとして夢を追いかけた。チームとの単年度契約。結果が全ての世界で、翌年の年俸は常に不安定だった。独身の頃はそれでも何とか貯金もできたが、27歳で母さんと結婚し、すぐにお前たち子宝に恵まれると、トレーナーの給与だけでは生活するのに精一杯になった。家族を守る責任の重さを痛感したよ。
そして12年前、母さんの地元で鍼灸院を開業した。最初の5年間は順調に売上を伸ばしたが、貯金を殖やすには至らなかった。そして、あの台風と、世界を覆ったコロナが襲いかかった。売上は急落し、父さんは「攻めの経営」から「守りの経営」へとシフトせざるを得なくなった。
その時、痛感したんだ。売上だけを追いかけるのは危険だと。本当に大切なのは「利益率」であり、そして何よりも「支出を抑える」ことだと。今も苦しみながら、その教訓を実践している。
父さんの人生は、決して順風満帆ではなかった。だからこそ、お前たちには、父さんが遠回りした道を、もっと賢く、もっと力強く歩んでほしい。そのために、父さんが人生で学んだ「10の教え」を、お前たちへの「お守り」として贈ろう。これは、お前たちの人生の羅針盤となるはずだ。
1. 30歳まで独身でいよう
これは、父さん自身の経験から、お前たちに最も強く伝えたいことの一つだ。父さんは27歳で母さんと結婚し、すぐに子宝に恵まれた。それは人生最高の喜びだったが、同時に、経済的にも時間的にも、大きな制約が生まれたのも事実だ。
若いうちの数年間は、人生の土台を築く上で、何よりも貴重な時間だ。この時期に、結婚や家庭を持つ責任に縛られず、自分のためだけに時間とお金を使える自由は、かけがえのない財産になる。この期間に、徹底的に自己投資をし、金融投資の基盤を築くんだ。そうすれば、将来、本当に愛する人と出会い、家庭を築く時、経済的な不安に悩まされることなく、心から家族との時間を楽しむことができるだろう。
2. できる限り支出を抑えよう(実家に住もう)
父さんが経営危機で学んだ最も重要な教訓の一つが「支出抑制」だ。これは、家庭の経済にも全く同じことが言える。
特に、若いうちの家賃や生活費は、想像以上に大きな負担になる。もし可能であれば、実家で暮らすことを真剣に考えてほしい。浮いた家賃や光熱費、食費は、そのままお前たちの未来への投資に回せる。これは、人生のスタートダッシュにおいて、とてつもないアドバンテージになるんだ。決して恥ずかしいことではない。賢い選択だと、父さんは思う。
3. 賢く買い物をしよう(ポイ活)
父さんは鍼灸院の経営者として、常に「利益率」を意識してきた。これは、日々の買い物にも応用できる考え方だ。
「ポイ活」と聞くと、地味に感じるかもしれないが、これは日々の消費を「投資」に変える賢い術だ。クレジットカードやキャッシュレス決済を賢く使い、ポイントを最大限に活用する。無駄な出費を抑え、必要なものをよりお得に手に入れる。これは、お前たちの手元に残るお金を増やし、それをさらに投資に回すための、小さな、しかし確実な一歩になる。お金は使うものではなく、増やすものだという意識を常に持とう。
4. 収入の半分を金融投資しよう(インデックス投資・高配当株投資/NISA、iDeCoを最大限活用)
父さんが20代の自分に伝えたい、たった一つの後悔は「もっと早く資産構築を始めなかったこと」だ。独身時代に貯めた400万円も、今思えばもっと有効な使い方があったはずだ。
お前たちには、収入の半分を金融投資に回してほしい。これは決して無理な目標ではない。若いうちから始める「複利」の力は、想像を絶する。前回話したNISAやiDeCoを最大限活用し、まずは「インデックス投資」で世界経済の成長の恩恵を享受するんだ。そして、将来的に「収益源の複数化」を目指すなら、「高配当株投資」も選択肢の一つになるだろう。お金に働いてもらう仕組みを、若いうちから構築することが、経済的自由への最短ルートだ。
5. 自己投資をしよう
どんな金融投資よりも、最も確実で、最もリターンの大きい投資は、自分自身への投資だ。お前たちのスキル、知識、経験、そして人間性こそが、人生で最も価値のある資産になる。
お金や時間を惜しまず、自分の成長のために投資するんだ。それは、新しいスキルを学ぶことかもしれないし、資格を取ることかもしれない。あるいは、新しい経験をすること、人との出会いを大切にすることかもしれない。自己投資は、お前たちの可能性を無限に広げ、どんな時代でも生き抜く力を与えてくれるだろう。
6. 自己投資1:AI(最新テクノロジー)と仲良くなろう
父さんが鍼灸院の経営で痛感したのは、テクノロジーの進化の速さと、それに対応することの重要性だ。特にAIは、もはや特別なものではなく、現代社会の必須ツールになっている。
AIを「仕事を奪う敵」と恐れるのではなく、「最強の相棒」と捉え、積極的に学び、使いこなすんだ。ChatGPTのような生成AIツールは、アイデア出し、文章作成、情報収集など、あらゆる面で強力な味方になる。常に新しいテクノロジーにアンテナを張り、変化を恐れず、むしろ変化を楽しむ柔軟な思考を身につけてほしい。
7. 自己投資2:本を読もう
本は、先人たちの知恵や成功・失敗の経験を凝縮した「タイムカプセル」だ。たった数千円で、何十年もの歳月をかけて築き上げられた知識や哲学を、手に入れることができる。
読書を通じて、お前たちは知識を深め、思考力を養い、人生の選択肢を無限に広げることができる。特に、金融、歴史、哲学、心理学、そして伝記など、幅広いジャンルの本を読むことをお勧めする。本は、お前たちの人生を豊かにし、困難に直面した時に必ず道を示してくれるだろう。
8. 確定申告を自分でしよう
父さんは個人事業主として、毎年確定申告をしてきた。これは単なる義務ではない。自分のビジネスや家計のお金の流れを自分で把握し、税金と向き合うための「最高の学びの場」だ。
最初は難しく感じるかもしれないが、自分で確定申告をすることで、お金に対する意識が格段に高まる。税金に関する知識は、将来、お前たちがどんな仕事に就こうとも、あるいは自分でビジネスを始めようとも、必ず役立つ強力な武器になる。お金から逃げず、きちんと向き合う姿勢を身につけよう。
9. 法人を立ち上げよう
父さんは個人事業主として鍼灸院を経営してきたが、もし事業が大きく成長するなら、将来的に「法人化」を真剣に検討してほしい。
法人を立ち上げることは、税制面でのメリットだけでなく、社会的信用を高め、事業をさらに拡大していくための大きなステップになる。これは「収益源の複数化」の究極の形であり、自分で事業を創造し、社会に価値を提供することの醍醐味を味わうことができるだろう。起業家精神を育み、自分の力で未来を切り拓く勇気を持ってほしい。
10. 健康的に生きよう
父さんは鍼灸師として、多くの人々の体と心を見てきた。そして、自身の経験からも痛感している。どんなに資産があっても、どんなに成功しても、健康を損なっては意味がない。
健康は、お前たちの人生のすべての土台だ。質の良い食事、適度な運動、十分な睡眠、そして心の健康(ストレス管理)を大切にすること。これらは、最高の自己投資であり、お前たちが人生を力強く、そして長く楽しむための必須条件だ。体が資本。この言葉の意味を、常に心に留めておいてほしい。
最後に、父さんから伝えたいこと
娘たちよ、今日伝えた10の教えは、父さんが人生で経験し、学び、そしてお前たちに心から願うことの全てだ。
これは、お前たちの人生を縛る「ルール」ではない。お前たちが、この複雑な世界を賢く、そして幸せに生き抜くための「ヒント」であり、「お守り」だと思ってほしい。
人生は、常に変化し、予期せぬ出来事が起こる。父さんの経験が、お前たちの未来を完全に保証するものではない。しかし、これらの知恵が、お前たちが困難に直面した時、正しい選択をするための助けとなり、より豊かな人生を歩むための道しるべとなることを、心から願っている。
父さんは、どんな時も、お前たちの味方であり、一番の応援者だ。困った時は、いつでも父さんを頼ってほしい。そして、お前たち自身の人生を、思い切り楽しんでほしい。
愛しているよ。
父より
【免責事項】
本記事は、筆者の個人的な経験と見解に基づいた情報提供を目的としており、特定の行動や投資を強制するものではありません。金融、ビジネス、健康に関する情報は、個人の状況や市場の変動により異なる場合があります。最終的な判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。また、本記事に記載されている情報は、作成日時点のものであり、将来的に状況が変更される可能性があります。